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Audacity 4が正式公開|Podcast編集で変わったところを初心者向けに整理

無料の音声編集ソフトとして長く使われてきたAudacityが、大きく変わりました。

Audacity 4.0.0が2026年9月3日に正式公開されています。

見た目を変えただけではありません。画面まわりの仕組みをQtベースで作り直し、音声クリップの扱い方やトラックごとのレベル表示、エフェクトまわりなど、かなり広い範囲が刷新されています。

私は普段、Podcastの編集にはAdobe AuditionやLogic Proを使っています。なので、すぐにAudacityへ乗り換えるつもりはありません。

それでも今回のAudacity 4は、ちょっと触ってみたいと思いました。

特に気になったのが、コンプレッサーやリミッターを聴きながら調整できることと、ラウドネスを整える機能です。

Podcastでは、音が録れているだけではなく、聴く人が何度も音量を上げ下げしなくてすむことも大切です。

小さな声に合わせて音量を上げたら、次の瞬間の笑い声が大きすぎる。

別の番組へ移ったら、急に音量が変わる。

Audacity 4では、そんな声の大小差や音量を整える作業を、以前より試しやすくなったように見えます。

一方で、Audacity 4.0.0は正式版ではあるものの、Audacity 3の完全な上位互換ではありません。

今回は新機能を全部並べるのではなく、Podcastを収録・編集する人に関係するところを中心に見ていきます。

この記事でわかること

  • Audacity 4でPodcast編集の何が変わったのか
  • コンプレッサー、リミッター、ラウドネスの違い
  • Audacityの初期値「-23 LUFS」をPodcastでそのまま使ってよいのか
  • Audacity 3から移行するときの注意点
  • 外部プラグインを使っている人が確認したいこと

Audacity 4は何が変わった?

まず大きいのは、AudacityのUIがQtベースで作り直されたことです。

Qtは、WindowsやMacなど複数のOSで使われるアプリ開発の仕組みです。

私たちがQtそのものを意識する必要はありません。

今回が「ボタンの位置を少し変えた」という程度ではなく、画面や操作まわりをかなり大きく作り直したアップデートだと分かれば十分です。

音声クリップを直接扱いやすくなった

Audacity 4では、タイムライン上の音声クリップを以前より直接扱いやすくなりました。

複数のクリップをまとめて選択したり、移動したり、グループ化したりできます。クリップの端をドラッグしてトリミングする操作も分かりやすくなっています。

Podcastでは、

オープニング
本編
BGM
ジングル
エンディング

など、複数の素材を扱うことがあります。

それぞれを「音の塊」としてつかんで動かす感覚が、以前より直感的になっています。

ホストとゲストの音量も確認しやすくなった

もう一つ分かりやすい変更が、トラックごとのレベルメーターです。

たとえば、自分とゲストを別トラックで録っている場合、

「自分だけ少し大きい」
「ゲストの声がかなり小さい」

といった差を目で確認しやすくなります。

Podcastを始めたばかりなら、波形だけを見るよりこちらの方が分かりやすいかもしれません。

Podcastで大事なのは「聴きやすい声」

Podcastを始めたばかりなら、

「ちゃんと録れた」
「書き出せた」
「公開できた」

まずはそれで十分だと思います。

でも配信を続けていると、少しずつ音量や声の聞こえ方が気になってきます。

そこで出てくるのが、

コンプレッサー(Compressor)
リミッター(Limiter)
ラウドネス

です。

コンプレッサーは声の大小差を整える

人が話す声は、ずっと同じ大きさではありません。

小さく話すところもあれば、笑った瞬間だけ急に大きくなることもあります。

コンプレッサーは、こうした大きな音と小さな音の差を小さくする処理です。

たとえば、小さい声に合わせて音量を上げたら、突然の笑い声が大きすぎる。

そんな差を少し穏やかにできます。

ただし、強くかけすぎると声の自然な強弱までなくなり、かえって聴き疲れすることがあります。

声を無理に大きくするためではなく、極端な大小差を少し整える道具くらいに考えると分かりやすいです。

Audacity 4では、聴きながら試せる

Audacity 4では標準エフェクトのうち、

  • Compressor
  • Limiter
  • Reverb

をリアルタイムエフェクト(Realtime Effects)として使えます。

すべての標準エフェクトがリアルタイム対応したわけではありませんが、この3つは再生しながら設定を変えられます。

つまり、

コンプレッサーを入れる
↓
聴いてみる
↓
少し強すぎる
↓
設定を変える
↓
元の音と比べる

という使い方ができます。

元の音声そのものを書き換えないので、まず試してみやすい。

私がこれからPodcastを始める人に説明するなら、この「聴きながら試せる」ところを一番に伝えたいです。

リミッターは飛び出した大きな音を抑える

リミッターは、設定した上限を超える大きなピークを抑える処理です。

Podcastなら、

突然の笑い声
机をたたいた音
一瞬だけ強くなった発声

などです。

ざっくり分けると、

コンプレッサー:声全体の大小差を整える
リミッター:一瞬飛び出した大きなピークを抑える

です。

Audacity 4では、複数トラックをまとめた最終出力側にMaster Effectsとしてリミッターを入れることもできます。

そしてラウドネスを整える

もう一つ大切なのがラウドネスです。

ラウドネスは、簡単に言えば人が感じる音の大きさを数値として扱う考え方です。

PodcastではLUFSという単位をよく使います。

ここで、ピークとラウドネスは別のものです。

ピーク値は、瞬間的にどこまで大きくなったかを見るもの。
LUFSは、時間を通してどのくらいの大きさに感じるかを見る指標です。

AudacityにはLoudness Normalisationという機能があり、目標とするLUFSを指定して全体の音量を調整できます。

Audacityの初期値は-23 LUFS

今回調べていて、私も「あ、そうだったのか」と思ったことがありました。

AudacityのLoudness NormalisationでLUFSを使う場合、初期値は-23 LUFSです。

-23 LUFSは、EBU R128という放送向けのラウドネス基準で使われる値です。

つまり、

Audacityの初期値が-23 LUFSだから、Podcastも-23 LUFSにすればよい

という意味ではありません。

私はPodcastの目安として、

ステレオ:-16 LUFS前後
モノラル:-19 LUFS前後

をおすすめしています。

この基準で作ったPodcastと比べれば、-23 LUFSはかなり低い値です。

一瞬、

「音量の小さいPodcastが多いのは、Audacityの初期値も関係していたりするのかな?」

とも思いました。

ただ、そこまでは分かりません。

どれだけの配信者がAudacityを使い、さらに初期値のまま処理しているのか確認できないからです。

少なくとも、Audacityを使うなら、

「-23 LUFSはPodcast向けのおすすめ値として置かれているわけではない」

ということは知っておいた方がよさそうです。

私はステレオ-16 LUFS前後、モノラル-19 LUFS前後を目安にしています

特に声日記や一人しゃべりのように、声を中心に届けるPodcastなら、ステレオにする必要がないケースも多いと思っています。

一人しゃべりならモノラル。

その場合は-19 LUFS前後。

ステレオで作るなら-16 LUFS前後。

以前の記事で、この考え方をもう少し詳しく書きました。

声日記はモノラルでいい?一人しゃべりなら-19 LUFSを目安にする理由
https://podcast.htmt41.com/archives/1037

もちろん、

必ず-16.0 LUFSや-19.0 LUFSにぴったり合わせなければいけない

という話ではありません。

数字は目安です。

大切なのは、

「この番組だけ小さいな」

と音量を上げたり、

次の番組へ移った瞬間に、

「大きい!」

と慌てて下げたりしなくていいこと。

私はそのためにラウドネスを見ています。

※Audacity 4でモノラル-19 LUFSへ設定する具体的な方法は、モノラル音声の扱いに関する設定もあるため、実際に検証してから別途紹介する予定です。

コンプレッサー、リミッター、ラウドネスは役割が違う

ここまでをまとめると、

コンプレッサー
→ 声の中の大きい・小さいの差を整える

リミッター
→ 一瞬飛び出した大きなピークを抑える

ラウドネスノーマライズ
→ 完成した音声全体の音量感を目標へ近づける

という違いです。

たとえば、普通の声は小さいのに、笑ったところだけ大きい録音を、いきなり-16 LUFSや-19 LUFSへ合わせても、声の中の大小差そのものは消えません。

一例としては、

カット・編集
↓
必要ならノイズを整える
↓
コンプレッサーで声の大小差を整える
↓
必要ならリミッターでピークを抑える
↓
ラウドネスを確認・調整する
↓
書き出す

という流れです。

素材の状態や使うエフェクトによって、必要な処理や順番は変わります。全部を毎回使う必要もありません。

数字を合わせることが目的ではない

ここが、私がPodcastの音量について一番伝えたいところです。

Podcast編集の目的は、

-16 LUFSにすることでも、-19 LUFSにすることでもありません。

数字は、聴きやすい音を作るための目安です。

小さすぎて聞き取れないところがないか。

急に大きな声が出て驚かないか。

長く聴いていて疲れないか。

別のエピソードへ移ったときに、極端に音量が変わらないか。

そういうところの方が大切です。

Audacity 4では、コンプレッサーやリミッターを聴き比べながら調整しやすくなりました。仕上げでは、別途ラウドネスを確認できます。

私は今回、そこに一番興味を持ちました。

Audacity 3から移る前に確認したい3つ

すでにAudacity 3を使っている人は、正式版が出たからといって急いで移行する必要はありません。

確認しておきたいのは、大きく3つです。

1. 今のプロジェクトを戻せる?

Audacity 3の.aup3プロジェクトはAudacity 4で開けます。

ただし、Audacity 4で使われる新しいプロジェクト形式は.aup4です。

元の.aup3ファイルは残りますが、Audacity 4で編集した.aup4を、あとから.aup3へ戻して保存することはできません。

大切な旧プロジェクトを置き換えず、まずは別環境として試す方が安心です。

2. いつもの機能はある?

Audacity 4.0.0は正式版ですが、Audacity 3の全機能が揃ったわけではありません。

Podcast制作者に関係しそうなのがMacro Managerです。

毎回の音声処理や書き出しをマクロ化している場合、現在のワークフローをそのまま移せない可能性があります。

それ以外にも、一部の書き出し、レンダリング、解析、エフェクト関連の機能がまだ揃っていません。

「自分はマクロを使わないから大丈夫」ではなく、普段のPodcast編集を最初から最後まで通せるかを確認した方が安全です。

3. いつものプラグインは動く?

私自身がAudacity 4を試すなら、ここはかなり気になります。

音声編集を続けていると、

ノイズ除去
De-esser
EQ
コンプレッサー
リミッター
ラウドネスメーター

など、自分なりの「いつもの道具」ができてきます。

Audacity 4全体としては、VST3、LV2、macOSのAudio Unitsなど、外部プラグインへの対応が案内されています。

ただし、どのOS・どのビルドでも、すべて同じように使えるという意味ではありません。

Apple Silicon Macは特に確認したい

Audacity 4.0.0のmacOS向け配布には、

  • Universal DMG
  • ARM64 DMG
  • x86_64 DMG

など複数のビルドがあります。

そして現時点では、ARM64 DMGに「No plugin support」と明記されています。

ここは少しややこしいところです。

Audacity 4自体は外部プラグインに対応しています。

一方で、macOS 4.0.0のARM64単体ビルドにはプラグイン非対応という注意書きがある。

つまり、

「M1、M2、M3、M4だからARM64版を選べばいい」

とは単純に言えません。

外部プラグインを使うApple Siliconユーザーは、どのビルドを選ぶかも含めて、その時点の公式情報を確認した方がよさそうです。

また、Universal版なら手持ちのプラグインが必ず全部動く、とまでは言えません。

実際に使っているものを一つずつ確認する必要があります。

Audacity本体は無料

これから始める人には料金も気になるところですが、Audacity本体は引き続き無料のオープンソースソフトウェアです。

プロジェクトは自分のMacやPCへ保存できます。クラウド保存を使わなければAudacityを利用できない、という仕組みではありません。

取材音源や未公開エピソードなど、外部へ出したくない素材を扱う場合は、保存先を自分の運用方針に合わせて選べばよいでしょう。

これからPodcastを始める人にはAudacity 4はアリ?

これからPodcastを始めて、まず基本的な録音と編集を覚えたい人にとっては、Audacity 4はかなり有力な選択肢だと思います。

無料で、

録音
カット
複数トラック編集
EQ
コンプレッサー
リミッター
ラウドネス調整
MP3書き出し

といった基本的な作業をかなりカバーできます。

さらにAudacity 4では、

エフェクトをかける

というより、

聴きながら試す

という使い方がしやすくなりました。

もちろん、Audacityを入れただけでPodcastに適した音になるわけではありません。

最初から難しい設定を全部覚える必要もないです。

まず録る。

切る。

聴く。

そこで、

「声が小さいところがあるな」

「笑ったところだけ大きいな」

「ほかのPodcastより全体的に小さいな」

と気づいたら、少しずつコンプレッサーやリミッター、ラウドネスについて知っていけば十分です。

私もAudacity 4を触ってみようと思う

私は普段、Adobe AuditionやLogic Proを使っています。

なので今回、

「Audacity 4へ乗り換えよう」

という話ではありません。

気になっているのは、

「これからPodcastを始める人に、Audacity 4を勧めやすくなったのか」

というところです。

まず一本分の音声を使って、

カット
↓
コンプレッサー
↓
リミッター
↓
ラウドネス調整
↓
書き出し

まで通してみようと思っています。

モノラル-19 LUFSの設定が実際にどう測定されるのか。

普段使うような外部プラグインはどこまで使えるのか。

そして何より、Podcastの編集が分かりやすいか。

そこを実際に確かめてみたいです。

まとめ|Audacity 4、まずは一本触ってみたい

Audacity 4は、見た目が変わっただけのアップデートではありません。

Podcast制作で見ると、音声クリップの扱いやトラックごとのレベル表示に加えて、コンプレッサーやリミッターを聴きながら試せるようになったところが気になります。

一方で、4.0.0はAudacity 3の完全な上位互換ではなく、プラグインや未搭載機能には注意が必要です。

私は普段のAuditionやLogic Proから乗り換える予定はありません。

でも、これからPodcastを始める人に勧めるならどうなのか。

そこは自分でも一度触って確かめてみたい。

まずは一本、いつものPodcast編集をAudacity 4で通してみようと思っています。

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